後楽園の唐崎の一ツ松。雲のように見えているのは東京ドームで左端の上部に、虹橋のように架かっているのがジェットコースターの軌道。



後楽園の一ツ松

 

後楽園の一ツ松は何代目で、現在の松はいつ植えられたものか調べてみた。今のところ史料はない。無いことを証明するのは大変難しく、今後史料が出た時には訂正することを条件に、推定してみる。

 

後楽園の一ツ松は昭和初期の写真が残っている。今とよく似た樹形で間違いなく現在の一ツ松と同じだ。

明治以降昭和に至るまで「植えた」とする資料がないのは不自然である。1923年に関東大震災があって後楽園の一ツ松が焼けたとしたら、何か史料がないと不自然だ。つまり、明治以降昭和に至るまで史料がないということは、明治以降には植えられていないと推測することが可能だ。


 

 

 

江戸時代のいつ植えられたものか推測するのも難しい。1736年頃書かれた「後楽紀事」によれば、唐崎の一ツ松は「辛埼をうつしたまふ…大猷公(徳川家光の諡)木のもとに御座なされ いろいろ御差図有し所なれば…」とあるので、後楽園初期の作庭段階で植えられたと思われる。


その時の松が現在まで生きながらえてきたとすれば400年近い古木となるが、どうもそのようには見えない。ある樹木の専門家に推定してもらうと約200年という。そうかも知れないし、そうでないかも知れない。史料がないので何とも歯切れが悪いが、後楽園の一ツ松は初代の松ではなく、江戸時代後期に植えられたと推定する。